はじめに
当院薬剤部は、「信頼」「貢献」「誠意」という院是のもと、患者様が安心して治療に専念できるよう、薬物療法の安全性と質の向上を追求し、地域住民の健康な生活に貢献することを理念とします。
薬剤部の特徴
当院薬剤部では、地域の皆様に安心して医療を受けていただくため、患者様一人ひとりに寄り添った薬物療法を実践しています。
調剤業務や薬品管理はもちろんのこと、病棟での服薬指導を通じて、入院患者様の薬の疑問や不安を解消し、より安全で効果的な治療をサポートしています。
また、入院中から患者様の退院を見据え、最適な薬物療法の提案に取り組んでおります。外来においても、専門的な知識と技術をもって、入院前の休薬説明や抗がん剤の調製かつ説明等を行っております。
さらには、チーム医療の一員として多職種と連携し患者様にとって最適な治療を受けられるよう努めております。
患者様が退院後も継続して適切な薬物療法を受けられるよう、地域の保険薬局との連携にも積極的に取り組んでおります。
スタッフ構成
9名の薬剤師(常勤8名、非常勤1名)と事務員1名で構成されています。
業務内容
調剤業務
外来患者様へは院外処方箋発行を原則とし、院内では主に入院患者様の調剤を行っています。 医師の処方箋に基づき、お薬の種類、量、服用方法、相互作用、重複投与、検査値、アレルギー歴などを細かく確認し、適切なお薬が処方されていることを包括的に評価することで、 最適な薬物療法の提供に努めています。錠剤自動分包機、散薬分包機、計数調剤管理システムなどの機器も活用し、安全かつ正確にお薬を準備するとともに、薬剤師が患者様と向き合える時間を確保しております。
薬品管理業務
病院内で使用される医薬品の購入、保管、供給、品質管理、使用期限管理を一貫して行っています。医薬品は、その種類や特性に応じて、温度、湿度、光など、適切な環境下で保管することが重要です。 特に、ワクチンやインスリンなどの生物学的製剤、抗がん剤や免疫疾患治療薬などは厳重な温度管理が必要となります。薬剤師は、これらの保管条件を厳守し、医薬品の品質を確保することで、患者様が安心して使用できる状態を維持しています。
病棟薬剤業務
各病棟に専任の病棟薬剤師を配置し、病棟における医薬品の安全管理や医療スタッフへの情報提供をはじめ、医薬品の適正使用に努めています。また、入院患者様の薬物療法を医師、看護師、他の医療スタッフと共同しサポートしています。 病棟薬剤師は持参薬の確認や、お薬の重複かつ相互作用をチェックし、現在の病態や検査値に基づいた薬の選択、用法用量の確認、調剤形態の提案、治療効果や副作用のモニタリングなどを行っています。患者様やご家族様に対し、 お薬の効果や副作用、使用上の注意点などを説明し、不安なく治療に臨めるよう支援しています。また、退院時には、自宅での正しいお薬の管理方法や注意点について説明し、 退院後においても入院中と同様に薬物療法が継続されるよう地域の保険薬局と連携を取りながら薬物療法をサポートします。
注射調剤業務
院内で使用する注射薬の調剤を行っています。医師のオーダーに基づき、内服薬を含めた相互作用、配合変化(複数の注射薬を混ぜた際の化学的変化)、検査値などを確認し、患者様ごとに注射薬を正確に準備します。 注射調剤においても最終鑑査システムを活用し確実な注射薬を患者様ごとに払い出しております。無菌的な操作が必要な高カロリー輸液はクリーンベンチ内で調製し、特に注意を要する抗がん剤は、安全キャビネット内で注射薬混注鑑査支援システムを活用し、 薬の間違いや調製量の間違いがないよう確実な調製を行っています。医療スタッフへの曝露対策も徹底しています。
医薬品情報管理業務 (DI業務)
医薬品に関する最新かつ正確な情報の収集、評価、整理、提供を行っています。日々更新される医薬品の情報を収集し、医療スタッフ(医師、看護師など)への情報提供や、患者様への説明に活用しています。 具体的には、新薬の情報、副作用情報、相互作用情報、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の情報などを提供し、医薬品の適正使用を推進しています。また、緊急安全性情報や安全性速報が通知された際には、速やかに患者様へ情報提供する体制も整えております。 さらには独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)への副作用報告や、薬事委員会を通じて、病院全体の薬物療法の質向上に貢献しています。
がん患者支援業務
がん治療において、患者様が安全かつ安心して薬物療法を受けられるよう、専門的な支援を行っています。抗がん剤の調製、投与量、投与間隔の確認、副作用のモニタリングと対策、疼痛緩和のための薬物管理、栄養サポートなど、多岐にわたる支援を行っております。 医師、看護師、栄養士、リハビリスタッフなどと連携し、がん患者様一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかな薬学的管理を行うことで、治療効果の最大化とQOL(生活の質)の維持向上に貢献しています。がん治療においても安全な薬物療法を提供するため、地域の保険薬局と連携しています。
薬剤師外来
手術や内視鏡治療を安全に行うためには、一時的に中止が必要なお薬があります。血液をサラサラにするお薬(抗血小板薬、抗凝固薬)、糖尿病薬などは休薬の時期が必要です。薬剤師は患者様が現在服用しているお薬を確認し、医師と連携しながら患者様各々に適切な休薬計画を立て説明しています。 がん薬物療法においても、薬剤師は治療の目的、薬の作用、副作用とその対処法、日常生活の注意点などを説明し、患者様が安心して治療に臨めるよう支援しています。
その他の薬剤師参加業務
薬剤師は、薬の準備や管理だけでなく、様々な医療チームの一員として患者様の治療を支えています。例えば、栄養サポートチーム(NST)では、患者様の体に合った栄養剤について提案し、感染対策チーム(ICT)では、院内感染を防ぐために薬の適正使用を推進しています。 他にも、糖尿病サポートチームや褥瘡(じょくそう)対策、医療安全、がん化学療法でも、それぞれの専門性を活かし、患者様の安全で適切な治療が円滑に進むよう力を尽くしています。このように、薬剤師は多くの医療スタッフと協力し、患者様が安心して質の高い医療を受けられるように日々取り組んでいます。
実習生の受け入れ
当院薬剤部では、未来の医療を担う薬剤師の育成に貢献するため、薬学部の学生を積極的に受け入れています。私たちは、実習を通じて、学生が臨床現場での薬剤師の役割を深く理解し、実践的な知識と技術を習得できるよう、質の高い教育を提供しています。
保険薬局の皆様へ
当院薬剤部では、地域の保険薬局の皆様との連携を密にし、患者様が安心して継続的な薬物療法を受けられるよう、薬薬連携を推進しています。
当院薬剤部との連携について
当院薬剤部では、地域の保険薬局の皆様との連携を強化するため、以下の点に力を入れています。
- 服薬情報提供書(トレーシングレポート)の積極的な活用
患者様の来局時に、気づかれた服薬状況の変化や副作用、残薬状況など、緊急性の低い情報についてご提供いただく「服薬情報提供書(トレーシングレポート)」を積極的に活用しています。 当院ホームページからもダウンロードできますのでご活用ください。 お寄せいただいた情報は、患者様の治療に役立てまいります。 - 疑義照会への迅速な対応
処方内容に関する疑義照会には、迅速かつ丁寧に対応し、地域の薬局の先生方との円滑なコミュニケーションを心がけています。 患者様の安全確保のため、ご不明な点やご懸念がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。平日8時30分~17時15分 疑義照会専用電話番号.022-364-5523 - 医薬品情報の共有
必要に応じて、当院で把握している医薬品情報や、特殊な薬剤に関する情報などを地域の薬局の皆様と共有し、地域全体の医薬品適正使用の推進に貢献してまいります。 - 連携推進のための定期的な交流
「薬薬連携会議」や「研修会」などを開催し、地域の薬局の先生方との顔の見える関係を築き、相互理解を深める機会を設けています。
保険薬局の皆様へのお願い
患者様が安心して薬物療法を継続できるよう、当院への情報提供にご理解とご協力をお願い申し上げます。 また、当院薬剤部に対するご意見やご要望がございましたら、お気軽にお申し付けください。 今後とも、患者様中心の医療を目指し、地域の保険薬局の皆様と共に地域医療の質の向上に貢献してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。