アドバンス・ケア・プランニング(ACP/人生会議)とは
人生の最終段階で受ける医療やケアについて、患者本人、家族、医療従事者が事前に繰り返し話し合う取り組みです。 これにより、患者の意思決定を支援し、その人の価値観を尊重した医療・ケアを実現することを目的としています。
主な内容
- 現在の健康状態や今後の生き方について考える
患者本人が自身の健康状態や将来受けたい医療・ケアについて考えます。 - 家族や医療・ケアチームとの話し合い
患者本人が自分で意思決定することが困難になった場合、事前に表明した内容に基づいて、 家族や医療・ケアチームが話し合いを行い、患者の意思を反映させた医療・ケアを実現します。 - 医療・ケアに関する希望
延命治療、人工呼吸器や人工栄養などの医療機器の使用、痛みや苦痛の緩和、臓器移植、終末期医療、 葬儀や埋葬、財産や持ち物の処分、宗教的な希望など、具体的な希望を明確にします。 - ACPの記録と見直し
書面(エンディングノート)、電子媒体、医療機関のカルテなど、自分に合った方法でACPの内容を記録し、保管場所を決めます。 病状や体調の変化に合わせて定期的に見直し、必要に応じて内容を変更し、記録に残しておきます。
対象者
- 成人なら誰でも
特に身体的・精神的な変化や生活環境の変化が起こる可能性がある人が対象です。
目的
- 患者本人の価値観を尊重
患者本人の価値観を最大限に反映させた医療・ケアを提供することです。
実施方法
- 信頼関係の構築
医療・ケアチームは患者との信頼関係を築き、適切な支援を行います。
人生会議で話し合う内容
ACP人生会議で話し合うことは、決まった型はありません。大切なのは、自分が本当に望むことを正直に伝え、 大切な人と共有することです。話しにくいことがあれば、無理に話す必要はありません。自分のペースで、 ゆっくりと話し合いを進めていきます。
ステップ1、大切にしたい希望や思いについて考えてみましょう。
- 家族や友人のそばにいたい
- 好きなことを続けたい
- 家族に負担をかけたくない など
ステップ2、あなたの思いを伝えてくれる人を選びましょう。
どんな時でもあなたの希望を尊重できる人は誰ですか
ステップ3、希望する治療やケアについて家族や大切な人、または医療者と話し合いましょう。
- できる治療があるなら受けたい
- 痛みや辛いのは避けたい
- 延命のためだけの治療は受けたくない
- 入院したくない など
ステップ4、考えを書き留めておきましょう。
考えを書き留めておきましょう。書き留めた内容は家族や大切な人、医療者と共有しておきましょう。
※考えが変わったら、その都度書き直して構いません。
当院の取り組みについて
当院では、患者さんご自身の意思を尊重し、ご家族や医療チームと話し合いながら、人生の最終段階で受けたい医療やケアを考える 「アドバンス・ケア・プランニング(ACP/人生会議)」をサポートしています。さらに、エンディングノートを通じて、患者様の大切な 想いを一緒に考えていきます。
いつから始める
いつかやろうと思いながら、つい先延ばしになりがちですが、誰もがいつ、もしもの時を迎えるかは分かりません。 そのため、今のうちから家族や大切な人とご自身の思いや希望を共有しておきましょう。ご自身の誕生日や大切な人が亡くなった時、 または新しい年のスタートなどをきっかけに初めてみるのも良いかも知れません。
何をどこまで話し合う
万が一の時に備えて、患者様の大切にしていることや延命治療を希望するか、どのような医療やケアを望んでいるかを家族や大切な人と 共有しておきましょう。このことにより、ご家族や大切な人への負担も軽減されます。また、お気持ちが変わることはよくありますので、 定期的に整理しましょう。
誰に相談する
主治医の先生や看護師、または地域包括支援センターや介護専門員や介護従事者など患者様が相談しやすい方。なかなか思い浮かばない方は、 当院の医療福祉支援室までお気軽にご相談ください。
エンディングノートとは
エンディングノートを書いていく作業は、ご自身が自分らしく悔いなく生きるために自分の人生を振り返りながら、 今後の人生をいかに過ごしたいかを考える大切な時間になります。 また、大切なことは、エンディングノートの内容を家族など親しい方と話し合い共有することです。 残された家族がご本人の人生の最終段階において後悔のない判断をするための大事なツールになります。 自身のためでなく、家族など親しい方のためにも、ぜひ積極的に活用して頂きたいと考えています。 院内ではエンディングノートの配布を行っておりますので、活用したい方は【担当 医療福祉支援室】まで お問い合わせ下さい。エンディングノートの書き方や活用方法について、ご説明させていただきます。