蜂谷真紀 看護部長から一言
地域包括ケアシステムが目指すものは、高齢者の尊厳の保持と自立支援です。地域の中で高齢者が切れ目のないサポートを受けられ、
本人の選択で安心して暮らせる環境を作ることです。当院は、公立病院として地域から求められる医療の実現のため、2019年地域包括ケア病棟中心の病床へ大幅に機能を転換しました。
地域包括ケア病棟で働く看護師の役割は、退院したらどう過ごしたいのか、じっくりと「本人の思い」を傾聴し、
その願いを叶えるために支援していくことです。看護師はその願いに寄り添い、医師、医療ソーシャルワーカー、リハビリテーション科、栄養士、
薬剤師の専門職が集まる多職種カンファレンスに参加します。カンファレンスでは、本人の願いを叶えるための治療方針やケアの内容、
退院先などを繰り返し話し合って行きます。
私たち看護部は、看護師が患者さん(ご家族)の思いを傾聴し、その思いを医療チームに届け反映させ願いを叶えるための体制づくりに取り組んでいます。
その活動の中心が『退院支援チーム』です。チームを立ち上げてから3年が経ち、これまでの取り組みについて今年の3月に院内報告発表会を開催し、
更にチームの和が深まりました。患者さんや職員にとっても「この病院でよかった」と言っていただけることが、私たち看護師の使命であり最高のやりがいです。
看護部長として謙虚さを忘れず、普段から風通しよく忌憚なく自分のことを表現しあえる働きやすい職場環境づくりを目指し、ひたむきに取り組んでまいります。
看護部理念
患者さまに思いやりをもち、安全で質の高い看護を提供 します。
基本方針
- 相手の立場に立ち、やさしい態度で接します。
- チーム医療を推進し、安全な看護を提供します。
- 自己研鑚に努め、看護の質の向上を図ります。
2025年度看護部目標
1.安全で質の高い看護の提供
- 倫理的感性を養い、高齢者にとって安心・安全な療養環境の調整をする ①患者さまの尊厳を保ち、意思決定支援を丁寧に行う
- 感染対策を徹底し、患者・家族・職員を感染から守る
- 臨床看護研究の推進
- セル看護提供方式の導入 (患者のそばでケアする時間を確保する)
②身体拘束の廃止
2.人材育成と自己啓発・研鑽の推進
- 院内・院外への研修の参加の推進
- 認定看護師育成、資格取得の推進
- クリニカルラダーの見直し
- 看護補助者ラダーの教育体制を整える(ラダーの作成)
3.チーム医療で地域に貢献する
- 退院支援を強化し、生活の場へ繋ぐ
- ACPの推進 (その人らしさに寄り添う)
- 介護職と医療職が仲良くなる機会を設け、信頼関係を構築する
- 看護補助者との協働
4.相手を尊重した心のこもった接遇で、信頼関係を構築する
- 退院時アンケートでお褒めの言葉が前年度より増加する
5.職場内での円滑なコミュニケーションで、働きやすい職場づくり
- 業務の効率化を図り、時間外労働の削減を図る
- ワークライフバランスに配慮し、心理的安全性ある環境づくり
看護体制について
- 3病棟(161床)
急性期(一般病棟)1病棟、地域包括ケア病棟2病棟
・3階病棟、地域包括ケア病棟52床、師長1名、主任2名、看護体制、13対1
・4階病棟、急性期(一般病棟)71床、師長1名、主任2名、看護体制、10対1
・5階病棟、地域包括ケア病棟38床、師長1名、主任1名、看護体制、13対1 - 勤務体制
病棟(三交代)
・日勤(8時30分から17時15分)
・準夜勤(16時30分から1時00分)
・深夜勤務(0時30分から翌9時00分)
・外来(日当直有)外来、手術室、内視鏡室
教育基本方針
- 安全で安心できる医療・看護を提供し、患者さまの個別性を尊重した看護実践ができる(看護実践能力・医療安全)
- 患者さま・家族一人ひとりの生命と人権を尊重できる看護師の育成(ACP・意思決定支援・倫理)
- 患者さまが病気と共存し、地域でその人らしく暮らす支援ができる(地域包括ケア)
- 自らの責任において自主的に学び、看護力を発揮できる看護師の育成(人材育成・生涯学習)
看護師の教育・人材育成について
日本の医療は、今後を見据え、これまでの「病院完結型」から患者が病気と共存し、地域でその人らしく暮らしながらQOLの維持・向上を目指す「地域完結型」へと向かっています。 このような医療情勢の中で、当院は高齢化率の高い地域にある2市3町唯一の公立病院です。地域医療に貢献するという病院の理念に基づき、在宅療養支援病院として入院から在宅まで 一貫した医療提供体制が整っています。看護部としては、地域包括ケアで活躍できる看護師の育成・定着を目指しています。
地域包括ケアで活躍できる看護師とは
入院前の生活状況を把握し、生活者の視点を持ち、その人らしさを尊重した意思決定支援を行い、多職種と協働し在宅復帰を見据えた退院支援を円滑に進める看護師です。
現任教育
クリニカルラダー
レベル1 | |
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キャリア開発ラダーを導入し、プリセプターと一緒に1年間をとおして自身の知識・技術を磨いていきます。 1年目の新人には、心理的なサポートも行い、スタッフ全員で関わり育成します。 | |
レベル2 | |
臨床2年から3年目。看護計画立案・実践を通じ、予測能力・時間管理ができることを目指します。 | |
レベル3 | |
臨床4年目以上。病棟全体の状況を把握して、適切な判断や行動をとることができるようになることを目標にしています。 | |
レベル4 | |
臨床10年目以上。ルールやガイドラインに頼らず、豊かな経験から状況を直観的に把握します。 主任・看護師長以上対象には、看護管理マネージメントラダーに沿って研修しております。 また、年間個人目標管理を実施し、中間評価、最終評価を行っております。 個人面談では各人の目標達成に向けて助言・指導ができるように努力しております。 |
院内看護研究発表会
- 教育委員が中心となって発表会を運営しています。発表する看護師は達成感を味わい今後の実践に生かしていく意欲を表現しています。また、講評者席を設けており批判的に論文を読み込み、読み込んだ内容をどの様に伝えたら良いかも検討しながら取り組んでいます。
- 全国自治体病院学会に参加し、日々の実践の成果を社会化することに努めております。
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看護補助者教育
医療現場では、看護師をはじめとした多職種で構成される「医療チーム」が一丸となって専門性を発揮し、地域の皆さんがその人らしく生活できるよう支援することが求められています。 そのためには、医療チームの一員としての看護補助者は欠かせない存在です。看護師と看護補助者が協働して力を最大限に発揮するため、教育プログラムを作成して活用しています。
看護補助者ラダーについて
看護補助者は、介護職員としての資格を持っている方もいますが、無資格の方もいます。しかし、 患者さんや地域の方々に、より安心・安全な医療を提供するという目的は、 医療従事者において資格は関係ありません。未経験の方も、安心してより質の高い看護補助業務が提供できるように、 全看護補助者を対象とし「看護補助者ラダー」で個人のレベルアップを図っていきます。
ラダーの目的
- 看護師と看護補助者が相互に役割を理解し、協働することで、質の高い看護サービスを提供する。
- 看護補助者が、安心、安全に働ける職場環境を作る。
- 看護補助者が必要な知識と技術を段階的に習得し、自覚と責任を持って日常生活援助を行う。
到達目標
- レベルⅠ: (新入職者):看護チームの一員としての役割と責任を理解し、看護師長及び看護師の指示・ 指導を受けながら、安全に業務を遂行できる。
- レベルⅡ: 看護チームの一員としての役割と責任を果たし、看護師長及び看護師の指示・指導を受けながら、安全に業務を遂行できる。
- レベルⅢ: 看護補助者の中心的なメンバーとして看護チームに参画し、看護補助者の同僚や後輩に助言や支援ができる。
看護補助者の業務内容は、日常生活支援が中心であり、ケアに必要な知識・技術を習得するため、集合研修・e-ラーニングの他に「看護補助者ラダー評価表 (レベルⅠからⅢ)」の評価表を活用し自己評価します。 自分が今どんなレベルにいて、これからどんなチャレンジが必要かの目標管理をし、看護補助者が協力し合って学び育てていける環境を整えていきます。 なお、現場での指導者は、看護実践能力習熟段階の一定の基準をクリアした看護師が行っています。
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eラーニングシステム「学研ナーシングサポート」を導入しています
学研ナーシングサポートは、「医療安全、地域包括ケア、キャリア開発」をテーマに、看護実践能力を向上させ、現場に臨む看護師・准看護師・看護補助者をバックアップするためのオンラインツールです。 部署にあるパソコンはもちろんのこと、自宅からでもアクセスして使用することができます。看護技術の自己学習に役立ちます。
チーム医療
医師・看護師・看護補助者・薬剤師・理学療法士・栄養士・医療ソーシャルワーカーにより、連携してチーム医療を実践しております。入院後は、病棟看護師一人ひとりが退院支援の 重要性を理解し、主体的に退院支援を実施しています。退院支援チームでは、毎月集まり患者さまの思いやニーズを捉え、生活者の視点でアセスメントできるよう退院支援の強化に努めています。
実習病院としての体制
地域の実習病院としての役割を果たしております。仙台市医師会看護専門学校の学生を受け入れております。